レコードとアルバム鑑賞に関する私的考察、またはなぜCDは売れなくなったか②
Ⅳ CDはなぜ売れないか
CDがなぜ売れなくなったのかを考察する際必ず引き合いに出されるのがインターネットの存在だが、論じられるのは常に違法ダウンロードのせいであるという点だ。これは、さにあらず。
僕は、時代にCDレコード問わずアルバムを聴くという作業が好まれなくなったためであると考える。それはどういうことだろう。
アルバムを聴くという作業はアナログだ。レコードが持っていた儀式性はCDによって駆逐され、アルバムを聴くという行為に(一般的に)特殊性を見出しづらくなった。平たく言えば「そんな長い間音楽に意識集中してられへん、しんどい」のである。
また21世紀において、音楽はまさに飽和状態である。次から次へと新しいアーティストが現れては消え、パソコンを開けばコートジボワールのバンドだって聴けるようになった。膨大な情報量とそれを流通させるメディアの多様化。これらを処理するためには、一々マテリアルを取り出してプレーヤーに設置することは鈍重であり面倒なことだ。人々が求めるものは「アルバム」ではなく「曲」になり始めた。
そんな中、iPodをはじめとするデジタル音楽プレーヤーの登場は音楽産業にとって過去数十年で最もエポック・メイキングな出来事であった。 音楽ダウンロードは曲の切り売りを可能にしたのである。
デジタル音楽プレーヤーならば自分の所持するコンテンツすべてを取り込みアーカイブ化することで格段に作業を速く効率よいものにできる。「あの曲が聴きたい!」と思った時にすぐに聴くことができるのだ。この瞬発力の高さは特筆すべきだろう。
さらに、音楽プレーヤーを持ち運べるようになったことで、いつでもどこでも音楽を楽しめるようになった。つまりかつてはプレーヤーの前という限定された場所にしかなかった音楽がどこにでも存在し得るようになったのだ。
この音楽を聴く際に曲単位であること、さらに場所を限定されないというフットワークの軽さ、気軽さは時代にすごく見合った変化の仕方だと思う。
Ⅴ コンテンツは希求され続ける
「魅力的なコンテンツが減った」とはこれまたCDの売上不振とセットで語られるタームであるがコンテンツ自体は以前と変わらず希求されている。音楽は太古の昔からわれわれの生活に寄り添ってきた文化であり、人類が存在する限り消滅はしない(と、断言してよいと思う)。
前述した通り、CDやレコードはあくまでも「アルバム」としてのパッケージを提供しているわけなのだから、それが時代に必要とされなくなった以上は別にコンテンツのソースは物質的に存在する必要性がないのである。
要はコンテンツを選ぶ選択肢が増えたのである。それにはまさしくインターネットがかなり貢献しているだろう。そして有料無料・合法非合法の如何に関わらずイ ンターネットにおける音楽コンテンツのダウンロードの動きを数値化することは不可能であり、「音楽が聴かれなくなった」というのはCDの売上からしか導き出せない結論である。
③につづく

